僕はもともと饒舌なほうではない。だから、夜が更けるまで言葉を尽くして語り合った、というわけではなかった。それでも、不思議と確かな時間がそこにはあった。断片的な会話のひとつひとつが、あとになって静かに胸の中で輪郭を持ちはじめる。
今回の公演を終えたあと、その余韻の中で、何度もその時間を思い返していた。
あの場に流れていた空気。交わされた言葉の温度。言葉にならなかった感覚さえも、確かに共有していた気がする。
いくつもの気づきがあった。
互いに刺激を受け、知らず知らずのうちに学び合っていた。
表現とは何か。その問いに、明確な答えは出ないまでも、確かに手触りのようなものは掴みかけていた気がする。
演劇で何ができるのか。
どこまで削ぎ落とせるのか。
どこまで伝わるのか。
その一つひとつを、舞台の上で試し、揺らし、確かめていく時間だった。
きっと正解なんてない。
それでも、あの時間があったからこそ、次に進める。そう思える。
静かに残る余韻の中で、私はまた、次の表現へと向かおうとしているのであろう。
