気づけば、少しずつ季節が動いている。朝晩はまだ風がやわらかいけれど、昼間の日差しには、もう夏の気配が混じり始めている。時間は静かに進んでいるものだ。
この季節だからこそ味わえる時間があるのだと思う。重たいコートを着込む必要もなく、かといって真夏のような暑さに体力を奪われることもない。ふらりと外に出て、歩くだけでも気持ちがいい。窓を開けた時に入ってくる風や、新緑の匂いに、自然と心が緩む。
きっと、ちょうど良さを楽しめるのは、梅雨が来る前ぐらいまでなのだろう。雨の季節になれば空気は重くなり、夏になれば外へ出るだけで汗ばむ日々が始まる。だからこそ、今のこの穏やかな気候を楽しむことを大事にしたいと思う。
以前は慌ただしく過ごしていたこともあって、改めて季節を感じる余裕が少なくなっていた気がする。けれど、少し立ち止まって周囲を見渡してみると、街の景色も、人々の服装も、ちゃんと次の季節へ向かって変わり始めている。
季節には、その時にしかない空気がある。永遠に続く春もなければ、終わらない夏もない。だからこそ、その一瞬をちゃんと味わえる人でありたい。
梅雨が来るまでの、この短い心地良さを、もう少し楽しんでいたいと思う。
