それぞれ経験してきたこと、研究していることは違うからこそ、その人の話を聞くことは面白いと感じた今宵だった。
自分では当たり前だと思っていることが、誰かにとってはまったく未知の世界だったりする。そして逆に、自分が知らない世界を、当たり前のように語る人がいる。その差異に触れるたびに、人は一人では見られない景色を持っているのだと実感する。
今夜もそんな時間だった。
専門分野の話から、日々の仕事のこと、授業や学生との向き合い方まで、話題は次々と広がっていった。知識そのものももちろん刺激的だったが、それ以上に面白かったのは、「なぜその人はそこに惹かれたのか」という部分だった。どんな原体験があって、どんな悩みを抱えて、何を大事にしてきたのか。その背景が見えてくると、言葉に重みが宿る。
人は、経験したことしか語れない。
だからこそ、他者の話を聞くことには価値があるのだと思う。自分一人の人生では到底たどり着けない場所を、言葉を通して少しだけ旅させてもらえる。海外の話でも、研究の話でも、芸術の話でも、そこにはその人だけの時間が流れている。
最近は、短い言葉や刺激の強い情報ばかりが流れてくる時代だ。だからこそ、ゆっくり誰かの話を聞く時間は貴重なのかもしれない。効率だけでは測れない豊かさが、確かにそこにはある。
結局、人を深く動かすのは「その人自身」なのだと思う。技術や知識だけではなく、どんな人生を歩いてきたのか、何を見てきたのかが、言葉に滲み出る。
今夜は、自分の知らない世界をたくさん見せてもらった気がする。そして同時に、自分自身ももっと経験し、もっと見聞きしていきたいと思わされた。
当たり前だが、まだ知らない景色は、無数にある。
