素晴らしい映画を見た。
The Life of Chuck――邦題「サンキュー、チャック」は、現在映画館で上映されている。
実は、Mike Flanagan監督とは、私がアメリカにいた大学院時代に少し関わったことがある。まだ駆け出しで、自主制作映画をつくっていた時代だ。私はその作品にスタッフとして参加していた。当時から確かに才能のある人だった。映像に対する感覚も、人を惹きつける空気も、どこか他の人とは違っていた。
けれど、あれから長い時間が経って、海を越えた日本でも、大きなスクリーンで彼の映画が上映されるようになるとは、正直想像していなかった。人生というのは不思議だ。あの頃、同じ現場で汗を流していた人が、今こうして世界へ届く作品を生み出している。その事実だけでも、どこか胸を打たれるものがあった。
そんな縁もあって映画館へ足を運んだのだが、作品そのものが本当に素晴らしかった。
最初は、「これはどんな物語なんだろう」と、不思議な感覚のまま進んでいく。断片的に見えていたものが、少しずつ繋がり始め、気づけば物語そのものに飲み込まれていく。ユーモアもあり、エンターテイメントとしての面白さもある。それでいて、人生や時間、人が生きる意味のようなものを静かに問いかけてくる。
派手に説教をするわけではない。けれど観終わったあと、自分の残された時間で何をやりたいのか、何をやり残したくないのかを、自然と考えさせられる映画だった。
本当に面白かった。
そして不思議なことに、最近ずっと自分の中で考えていたことや経験してきたこと、読んできた本、出会った人たち、ここ最近感じていた感覚など、そういうものが一本の線で繋がっていくような気がした。まるで「そのまま進め」と、背中を押されたような感覚だった。
以前であれが実現することが難しいと思っていた。遠すぎて、現実味がなくて、自分には手が届かないものだと思っていた。
けれど今は、不思議と違う。
もちろん簡単ではない。年齢を重ねれば、責任も増えるし、失うことへの怖さも知ってしまう。それでも、だからこそ見える景色もあるのだと思う。若い頃にはただ勢いで走っていたものが、今は経験や積み重ねとして、自分の中に残っている。
もしかしたら、今だからこそできる。
映画を見終え、映画館の外へ出ると、心地よかった。
何か特別なことが起きたわけではない。けれど、自分の人生はまだ続いていて、まだここから先へ行けるのだと、静かに思えた。

