「会議なんて無駄だ」と言われることがある。確かに、長いだけで何も決まらない会議や、共有事項を読み上げるだけの時間に意味を見出せなくなる気持ちもわかる。けれど、組織がなぜわざわざ人を集めて話をするのかを考えると、そこには単なる情報共有以上の役割があるのだと思う。
情報だけなら、メールでもチャットでも伝えられる時代だ。スケジュールや数字、進捗報告だけなら、会わなくても済む。では、それでも人が集まる理由は何なのか。
たぶん、人は「情報」だけでは動けないからだ。
相手が何を考えているのか。どんな温度感でその仕事に向き合っているのか。困っているのか、余裕があるのか。本音ではどう感じているのか。そういう細かな空気は、やはり直接のコミュニケーションの中でしか見えてこないことが多い。
組織がうまくいかなくなる時というのは、大きな失敗が突然起こるというより、少しずつ会話が減っていく時なのかもしれない。
確認をしなくなる。
相談をしなくなる。
雑談をしなくなる。
すると、お互いの考えていることが見えなくなり、少しずつズレが生まれていく。そのズレを修正する機会がないまま時間だけが過ぎると、やがて不満や誤解が積み重なっていく。
結局、組織というのは人間関係の上に成り立っている。
どれだけ立派な理念や仕組みがあっても、コミュニケーションが失われれば、徐々に機能しなくなる。逆に、多少不器用でも、ちゃんと話ができる組織は強い。問題が起きても修正できるからだ。
会議の本当の役割は、「決定事項を共有すること」だけではないのだと思う。
同じ方向を向いているかを確認すること。
相手の存在を感じること。
言葉を交わしながら、組織の空気を整えること。
そう考えると、会議というのは、組織を動かすためのエンジンというより、壊れないためのメンテナンスに近いのかもしれない。
