環境が変わると、人は少しずつ変わっていく。
以前よりも規則正しい生活を送るようになった。朝に起きて、夜に眠る。当たり前のことなのに、忙しさや慌ただしさの中では崩れてしまっていたリズムが、少しずつ整ってきている気がする。食事も、ただ空腹を満たすためではなく、身体のことを考えて選ぶようになった。野菜を食べようとか、そんな小さなことの積み重ねだ。
運動も以前よりするようになった。身体を動かすと、頭の中に溜まっていたものが流れていく感覚がある。ただ筋肉を鍛えているというより、自分自身を整えている感覚に近いのかもしれない。
そして、本を読む時間や映画を見る時間も増えた。何かを吸収したいという気持ちが、自然と戻ってきている。本のページをめくりながら、自分の知らなかった考え方や世界に触れる。映画の中の台詞や風景に、不意に心を動かされる。そういう時間を、以前より大切にするようになった。
もちろん、急に別人になったわけではない。相変わらず迷うこともあるし、怠けてしまう日もある。それでも、少しずつでも前より良い方向へ向かおうとしている感覚がある。
人は、意志だけで変わるわけではないのだと思う。どこで暮らし、何を見て、誰と関わり、どんな空気を吸うのか。そういう環境の積み重ねが、静かに人を作り変えていく。
だからこそ、場所を変えることには意味がある。新しい土地で、新しい風を受けながら、また少しずつ自分を更新していく。変わっていくというより、本来の自分に近づいていく。そんな感覚なのかもしれない。
