作品は、誰のものなのだろう。
脚本を書いた人のものだろうか。
演出をした人のものだろうか。
それとも、舞台に立つ俳優たちのものだろうか。
もちろん、そのすべてが関わっている。
でも、本番を迎えるたびに思う。
作品は劇場で初めて、観客のものになるのではないか、と。
同じ台詞を聞いても、笑う人がいる。
静かに涙を流す人がいる。
何も感じなかったという人もいれば、何日も心に残り続ける人もいる。
そのどれもが間違いではない。
演劇は完成した作品を見せる芸術ではなく、観る人の心の中で完成する芸術なのだと思う。
だからこそ、舞台には「正しい受け取り方」が存在しない。
誰かにとっては家族の物語になり、誰かにとっては自分自身の物語になる。
同じ時間、同じ空間を共有していても、一人ひとりが持ち帰る作品は少しずつ違う。
それが演劇の面白さであり、難しさでもある。
もうすぐ八戸で『幸福な生活』を上演する。
会場には、さまざまな人生を歩んできた方が足を運んでくださるだろう。
私たちが届けるのは、一つの物語。
でも、その物語がどんな形になるのかは、観てくださる一人ひとりの心に委ねられている。
だから私は、公演が終わったあとも気になる。
「あの人には、どんな物語が見えていたのだろう。」
その答えを知ることはできない。
けれど、その想像を続けることこそが、演劇を続ける喜びなのかもしれない。

猫を飼う「幸福な生活」八戸公演
脚本・演出・出演=花木芙美
出演=青柳達也
ピアノ=大坪健人
彫刻=諸井謙司
衣装=吉田宏太郎
上演日時:
2026年8月
10日(月)16時、19時
11日(火・祝)11時、14時半、17時
※開場は各30分前、上演時間は約60分を予定
会場:八戸ポータルミュージアム はっち シアター2(〒031-0032 青森県八戸市三日町11−1)
アクセス:https://hacchi.jp/access/ ※近隣の有料駐車場、公共交通機関をご利用ください
チケット: 2000円、中高生1000円(当日各500円増し)


