車を運転しながら、窓の外をぼんやり眺める。街の景色は少し変わっているようにも見えるけれど、どこか懐かしい。以前は何度も通ったはずの道なのに、久しぶりに走ると、不思議と新鮮に感じる。
道は変わらなくても、自分のほうが変わっているのだろう。
あの頃は、こんなことを考えながら走ってはいなかった。目の前の予定や仕事のことばかりを考えていた。けれど今は、少し違う場所にいて、違う経験をして、違う気持ちで同じ道を走っている。
そうすると、過去の自分と今の自分が、ほんの一瞬だけ同じ場所ですれ違うような感覚になる。
「あの頃は、こんな未来になるなんて思っていなかったな」
そんなことを考える。
人生は、まっすぐな一本道ではない。曲がったり、遠回りしたり、思いがけない道に入ったりする。それでも、時間が経って振り返ってみると、あのときの道も、あのときの選択も、今につながっている。
久しぶりに通る道は、過去を思い出させるだけではない。
「これから、自分はどこへ向かうのだろう」
そんなことまで考えさせてくれる。
車は前へ進んでいる。
そして、時間も同じように前へ進んでいる。
戻ることのできない時間の中で、今日の自分は、今日しか通れない道を走っているのかもしれない。


