映画「急に具合が悪くなる」を観てから、原作となった書籍も読んでいる。
濱口竜介監督の映画は、原作をそのまま映像化したものではない。むしろ、映画は映画として独自の世界をつくり上げている。だからこそ、原作を読んでいると、確実にインスピレーションを感じたと思わせる内容がとてもおもしろい。
原作には、答えが用意されているというより、考え続けたくなる「問い」がたくさん詰まっている。
人はどうして誰かと出会うのか。
言葉を交わすことで、何が変わるのか。
生きることや死ぬことを、私たちはどう受け止めるのか。
そして、分からないものを分からないまま抱えて生きるとは、どういうことなのか。
などなど、そんな問いが次から次へと現れてくる。
濱口監督は、原作を説明するのではなく、そこから感じ取ったものを別の形へと変換したのだろう。だから映画を観たあとに原作を読むと、映画とはまた違う角度から作品の世界が広がっていく。
そして何より、とにかくおもしろい。
ページをめくるたびに、「これはどういうことなんだろう」と立ち止まってしまう。答えを探しているはずなのに、むしろ新しい問いが生まれてくる。
映画を観て終わりではなく、そこから本を読み、また映画のことを考える。だから映画ももう1回みたいと思っている。
作品というものは、観終わった瞬間に完結するのではなく、自分の中で考え続けることで、少しずつ形を変えていくのかもしれない。
「急に具合が悪くなる」は、そんなふうに、観たあともずっと思考を刺激し続けてくれる作品だ。
まだ上映中の映画館も多い。これはかなりおすすめの映画だし、是非、書籍も手に取って欲しい。


