夏の終わりの月

夏の終わりの月を見上げて夜道を歩く。
なぜだろう。
夏の終わりに見る月は、少し切ない。

蝉の声が遠くなり、夕暮れが早くなっていく。
あれほど長かった一日が、少しずつ短くなっていく。
楽しかった夏も、まだ終わってほしくないと思っている時間も、気づけば過ぎていく。

月は何も言わない。
ただ、静かにそこにいる。

そんな月を見ていると、過ぎていく時間のことを考えてしまう。
今年の夏も、もう戻ってこない。
だからこそ、今夜の月はこんなにも綺麗なのかもしれない。
終わっていくものは、終わりに近づくほど、その姿を美しくすることがある。

夏の終わり。

少し寂しくて、少し名残惜しくて、それでもどこか穏やかな夜。
月を見上げながら、過ぎていく季節に「ありがとう」と言いたくなる。
そして、まだ少しだけ残っている夏を、もう少しだけ味わっていたいと思う。

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