自分の中で、どうしても曲げられないことがある。
人から見れば、たいしたことではないのかもしれない。
もっと柔軟に考えればいい。
相手に合わせればいい。
そんなふうに考えることもできる。
たしかに、何でも自分の思い通りにしようとするのは違うと思う。人と生きていく以上、譲ることも必要だし、考え方を変えることも必要である。
それでも、譲ってはいけないものまで譲ってしまうと、自分が自分でなくなってしまう。
だから、曲げられないことがある。
それは、頑固でいたいということではない。
誰かに勝ちたいということでもない。
自分がこれまで生きてきた中で、失敗したり、迷ったり、傷ついたりしながら、それでも大切にしてきたものなのだと思う。
その大切さは、他人には説明できないこともある。
「そこまでしなくてもいいのに」と思われるかもしれない。
「もっと楽に考えればいいのに」と言われるかもしれない。
それでも、自分の中では、それを手放すほうが苦しい。
もちろん、曲げられないことを守るために、誰かを傷つけていいわけではない。自分の正しさを押しつけていいわけでもない。
ただ、自分の心に対してだけは、嘘をつかないでいたい。
何かを諦めることと、何かを手放すことは違う。
変わることと、自分を裏切ることも違う。
これから先、いろいろなものが変わっていくだろう。
環境も、人との関係も、自分自身の考え方さえも。
それでも、その変化の中で「これは大切にしたい」と思えるものが残っているなら、それだけは静かに守っていきたい。
曲げないことは、強さなのだろうか。
けれど、本当はもっと静かなものなのだと思う。
自分が自分であるために、動かせないものがある。
そんなものが、誰の中にもきっとあるはずだ。




