アメリカ時代にはよくガーリックトーストを食べていた。バケットが切ってあって、その表面にガーリックペーストが塗ってあるものがスーパーに並んでいて、それを自宅のオーブンで焼くのだ。タイマーを回して、待つだけ。しばらくすると、キッチンいっぱいに香ばしい匂いが広がってくる。
その間にパスタを茹でる。大きめの鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩を入れて、乾麺を放り込む。ソースは決して凝ったものではない。トマトソースだったり、オイルとにんにくだけの簡単なものだったり。それでも不思議と、それで十分だった。
オーブンからガーリックトーストを取り出すと、表面はこんがりと色づき、指で触れるとサクッと音がする。パスタを皿に盛り、ソースを絡め、トーストを添える。それだけの食卓。豪華でもない。ただ、自分のために用意した夕食だった。
日本に戻ってから、同じようにガーリックトーストを作ることはない。
だから、ときどき無性に思い出す。オーブンの前で待つ時間、立ち上る香り、何気ない夕食。懐かしいという言葉で片づけてしまうには、少しだけ大切すぎる、そんな食卓の風景を。
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