お芝居というものは、ひどく繊細だ。

とりわけ二人芝居となると、その揺らぎは隠しようがない。たった一つの間、わずかな視線のズレ、呼吸の速さなど、そんな些細な変化で、舞台の温度は簡単に変わってしまう。

うまく噛み合う瞬間もあれば、どこか歯車がずれることもある。だが、それすらも舞台の一部だ。互いに差し出した手を見逃さず、取りこぼしそうな言葉を拾い上げながら、ふたりでなんとか物語を前へと進めていく。

そこにいるのは、演じる側だけではない。客席に座る一人ひとりと、同じ時間を共有しながら、短い旅をともにしているのだ。どこへ辿り着くのかは、幕が上がった瞬間にはまだ誰にもわからない。

やがて物語は終わりへと向かう。
どんなに抗っても、終わりは必ず訪れる。

だからこそ問われるのは、その“着地点”だ。
走り切った先に、何が残ったのか。
届いたのか、届かなかったのか。
あるいは、そのどちらでもない余韻だけが、静かに漂っているのか。

正解はきっとない。
ただ、その日の、その瞬間にしか生まれないかたちで、確かに何かが立ち上がっている。

私は、それを信じて、また舞台に立つのだ。
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第5回目となる「猫を飼う」公演を予定している。今回は、なんと2本立て!違う役を演じ分けます。また、ピアニストの大坪健人さんとのコラボもお見逃しなく!!
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