「RENT」

「No day, but today(今日しかない)」と連呼されるエンディングの歌が耳に残り、私は感動の余韻に浸りながら、ゆっくりと劇場を後にした。電車に揺られながら、窓の外に流れる景色をぼんやりと眺めつつ、先ほどの舞台の印象的なシーンが頭の中で繰り返された。作品全体に漂うエネルギーと情熱が、私の心を強く揺さぶり、改めて、この作品の奥深さを感じた。

日米合作ブロードウェイミュージカル「RENT」は、全編が英語で上演され、ブロードウェイそのものの雰囲気を味わえる貴重な公演だった。言葉の壁を越えて、魂に訴えかけるような演技と歌声に心が震えた。特にメインキャストの山本耕史さんの演技には、驚きを感じた。日本人でありながら、流暢な英語でセリフを言い、歌いこなすその姿がカッコよかった。彼の声が、オリジナルキャストと微かに似ていることもあり、舞台全体に自然に溶け込んでいた。

大学時代、私はニューヨークのブロードウェイでこの作品を初めて観た。あの時の衝撃は今でも鮮明に覚えている。それ以来、何度もCDを聴いて、あの感動を繰り返してきた。そして今夜、再びこの素晴らしい楽曲を生の歌声で聴くことができたことに、深い感謝の気持ちが湧き上がった。あの頃とは違う視点で、成熟した感覚でこの作品を楽しむことができたことが、何よりも嬉しかった。

そして、90年代アメリカで過ごした当時の自分の純粋さも思い出していた。青春と呼ばれた日々を取り戻せるわけではないが、何かあの時に感じたことを再び手に入れることができる気がした。

「No day, but today(今日しかない)」という言葉が、再び心の中で響いた。今日という一日が、どれほど貴重で、どれほど美しいものかを思い知らされる。この瞬間、この時間、そしてこの出会い。全てがかけがえのないものだと感じた。

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