目の前にあるものに向き合っていく。忙しいと口にしても時は止まらない。だからこそ、静かに、淡々と、それでも前へと進めていく。
とある人に「感情を出さない人」と言われたことがある。だからこそ舞台に立つとき、彼らは僕にギャップを感じるのだろう。台詞の一つひとつに息を吹き込むたび、自分でも知らなかった感情が顔を出し、観客はもちろん、僕自身さえ驚かせることさえある。
けれどふと考える。フィクションの中で噴き出すこの感情は、果たして僕自身のものと言えるのだろうか。設定や物語の世界に身を置き、想像の中で揺さぶられているだけなのかもしれない。本物と呼ぶには、どこか頼りない感触がある。
それでも、嘘ではない。誰かの台詞に心が震え、涙がこぼれそうになるとき、その震えは確かに僕のものだ。仮の世界の中であっても、感じるものは真実だと信じたい。むしろ、その一瞬の真実こそが舞台の魔法であり、生きている証なのかもしれない。
さて、明日はトリプルヘッダーでお仕事だ。ありがたい。この忙しさの先に、また新しい出会いや景色が待っていると思うと、胸の奥に小さな灯りがともる。淡々と積み重ねる一日一日が、やがて未来の舞台につながっていくのであろう。
