中学二年の頃、偶然のように出会った一曲がある。
TM Networkの「Come Back to Asia」。
当時は意味もよく分からないまま、その響きに惹かれた。
だが年月を経て、あの歌が語ろうとしていたのは、単なる地理的な“アジア”ではなかったのだと思う。
「アジアに生まれ、アジアに還る」
それは、命が大地へ、海が空へ、光が闇へと還っていくように、
すべての存在が本来の場所へ戻っていくという摂理のようにも思える。
人はどこへ行こうと、自分という軸から完全に離れることはできない。
旅をし、迷い、変わり続けても、
心のどこかに“帰る場所”があるからこそ、前へ進めるのだろう。
ふとした瞬間、あのメロディが蘇る。
それは懐かしさではなく、自己の奥底から響く呼び声のようだ。
「Come Back to Asia」
それは私に、原点へ還るという生の循環を思い出させてくれる。
