猫を飼う第5回公演は、無事に全6回の上演を終えることができた。全回ほぼ満席。本当にありがたい限りだ。
今回は2作品、それぞれで2役。つまり4役を演じ分けるという挑戦だった。切り替えの瞬間に神経を使い、どこかで曖昧になりそうになる自分と何度も向き合った。それでも、「ちゃんと違う人に見えた」と言ってもらえたことが、何より救いだったし、素直に嬉しかった。中でも、紫のコートを着た胡散臭い役が好評だったのは、少し意外で、少し誇らしい。
そして今回は、ピアニストの大坪健人さんの生演奏の中で演じるという、なんとも贅沢な時間でもあった。前回以上に音楽との関係性は濃く、どの瞬間に、どんな音が立ち上がるのか、その呼吸を探る作業を重ねた。音に引っ張られることもあれば、こちらが音を呼び込む瞬間もある。その往復の中で立ち上がる空気は、やはり特別なものだった。細部までこだわり抜かれた音色は、素晴らしいものであった。
このユニットは、いつもどこか実験的だ。完成形をなぞるのではなく、手探りで形を探し続ける。その不確かさに付き合ってくださるお客様がいるということが、どれほど心強いか。改めて、感謝の念が込み上げる。
舞台は、生き物だと思う。同じ台本でも、同じ演出でも、同じにはならない。その一回きりの時間を、お客様と共有する。その儚さと濃密さこそが、私を舞台に立たせ続けている理由なのだと思う。
終わってしまった。それでも確かに、ここに積み重ねた時間があった。その手応えを胸に、また次へ進むしかない。



