「The older I get, the happier being home, doing nothing.」
(年を取れば取るほど、家で何もしないことが幸せだ。)
そんな言葉にふと出会った。
だけど、なぜだろう。自分にはまだ、その感覚がよくわからない。
忙しさは、20代の頃とほとんど変わっていない気がする。
気づけば、いつも何かに追われている。誰かのために、何かのために、自分の役割を果たしたいと常に思っている。
確かに最近、身体は以前のように無理がきかなくなってきた。
徹夜はできない。ハードなスケジュールをこなした後は、回復に時間がかかるようになった。
気力だけではどうにもならない。
「休まないとダメだな」と思うことが、年々増えてきた。
でもそれは、「何もしない時間に幸せを感じられるようになった」ということとは、違う気がする。ただ、自分がまた前を向いて動き出すために、立ち止まる時間が必要になっただけ。
休息は、贅沢ではなく、次に進むための準備になった。
それでもいつか、本当に「何もしない」ことに心から安らげる日が来るのだろうか。
静かな午後に、陽だまりの中で、ただ息をしているだけで満たされるような境地に、私はたどり着けるのだろうか。
今の私はまだ、走り続けている。
立ち止まっても、またすぐに何かを始めてしまう。
でも、そんな自分も悪くないと思う部分もある。
動き続けているうちは、まだ見たい景色があるということだから。
そしてきっと、いつかその足を止めた時。
静かな幸せの意味が、少しだけわかるようになるのかもしれない。