ここ最近は、新幹線に乗っている時間がやけに多かった気がする。
ホームに流れる発車メロディーを背に、慌ただしく車内へと乗り込み、気がつけばまた別の街へ向かっている。3時間も経てば、全く違う場所にいるというのは、改めて考えると不思議なことだ。窓の外を流れていく景色は、見慣れているはずの日本の風景なのに、どこかよそよそしく、まだ自分のものになりきっていない空気をまとっている。
それぞれの乗り換え駅のホームの匂い、街のざわめき、耳に入ってくる言葉のトーン。ほんの些細な違いなのに、それらは確かに「ここはこれまでの場所とは違う」と教えてくる。慣れない風景の中を歩きながら、自分が今どこに向かっているのか、時折ふと立ち止まりたくなる瞬間もある。
不安ばかりではない。目には見えないところで何かが少しずつ形になっていく手応えのようなものを感じている。点と点が、まだ線にはなりきらないまでも、どこかで静かにつながり始めている。そんな感覚だ。
新しいことが始まる前の、あの独特の空気。
すべてが整っているわけではないし、先の見通しがはっきりしているわけでもない。それでも胸の奥に、小さなワクワクが灯っている。未知のものに足を踏み入れるときにしか味わえない、あの感覚だ。
新幹線の座席に身を預けながら、移動という時間の中で、自分のこれからを何度も思い描く。走り続ける車両のリズムに合わせるように、自分の心もまた少しずつ前へ進んでいる気がする。気づけば、最初は遠く感じていた場所も、少しずつ「自分の居場所」へと近づいていくのかもしれない。
まだ始まったばかりだ。
だからこそ、この揺れる時間さえも大切にしながら、目の前に広がる新しい道を、一歩ずつ歩いていこうと思う。
