何も言わなくても

13年前に書いたミュージカルの曲に、「何も言わなくても」というものがある。

「ここにあるものと あたらしいものと
残されるもの 出て行くもの
抱きしめられる いつか全てを
過去と未来と思い出と 出会える時に溢れ出す
全部知っているさ 何もいわなくても」

この歌詞の中心にあるのは、「変化の中で、すべてを受け入れる覚悟」だと思っている。

「ここにあるもの」と「あたらしいもの」
「残されるもの」と「出て行くもの」

対になる言葉を並べることで、世界が常に入れ替わりながら、それでも途切れずに続いていくことを表現している。

何かが終われば、何かが始まる。
手元に残るものもあれば、手放さなければならないものもある。
その繰り返しの中で、私たちは生きている。

そして最後の
「抱きしめられる いつか全てを」という一節は、変化に抗うのではなく、そのすべてを受け入れていく未来への祈りのようにも感じている。

あの頃の私は、今よりもずっと未熟だったはずなのに、不思議と本質を見ていたのかもしれない。
言葉にしなくても、どこかで分かっていたのだと思う。

私は基本的に、「信じる力」を強く持って生きている。
だからこそ、この歌詞が生まれたのだと、今になって改めて思う。

信じるというのは、何かがうまくいくと確信することではない。
変わっていくこと、失うこと、思い通りにならないこと。
それでもなお、その先に意味があると受け止めることだ。

13年前に書いたこの言葉は、時間を越えて、今の私に静かに語りかけてくる。
「何も言わなくても、わかっているだろう」と。

だから私は、今日もまた進んでいく。
ここにあるものを大切にしながら、あたらしいものを迎え入れて。

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