この物語の展開とテンポは、まさに圧巻だった。次に何が起こるのか、その一瞬一瞬を、息をひそめながら見守っていた。舞台として描かれる世界は、どの場面を切り取っても絵画のように美しく、独特の色彩と構図が強く印象に残る。ミステリーは次第に深みを増し、行き着く先が見えないまま物語は進んでいく。そして、ときおり差し込まれるどこか滑稽なシチュエーションに、思わず頬が緩む。
映画『グランド・ブダペスト・ホテル』は、そんな魅力に満ちた作品だった。
物語は、今は古びたホテルの全盛期にベルボーイとして働いていたゼロ・ムスタファが、自身の過去を語る形で進んでいく。伝説的なコンシェルジュ、グスタヴとの奇妙で鮮やかな冒険の日々。そこには、笑いと哀しみが繊細に織り込まれていた。
アカデミー賞を受賞している良作の映画がやっと見れてよかった。
