素晴らしい時間だった。本番を終えた夜は、たいてい興奮が冷めやらず、すぐには眠りにつけない。今夜もその感覚に身を任せ、静かに余韻を楽しむことにしよう。
「シン・ハリマオ」は、なんと2回公演とも満席。会場を埋め尽くす観客の熱気が、舞台上の僕らにエネルギーを注ぎ込んでくれた。今日は昨日とは異なる場所でミスをしてしまったものの、それでも少しだけ納得のいく演技ができたという手応えがある。この達成感は完璧には程遠いけれど、次への挑戦に向けての原動力となる。「まだまだやれる」と思わせてくれる公演だった。
普段の僕は、いくつもの役割を同時に担い、マルチタスクで動くことが多い。でも今回は、周囲のスタッフさんの支えがあってこそ、役者として演技に専念することができた。最後の最後まで、出番の直前までセリフを反復し、自分の中に深く落とし込む努力を続けた。言葉が身体から自然に湧き出るような感覚――その境地に少し近づけた気がする。
ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。
そして、初共演の仲間も多かった今回の公演。お互いに刺激を与え合い、練習を重ねるごとに舞台が形作られていく。その過程は実に濃密で、何より楽しい時間だった。そんな仲間たちとの出会いに、感謝の気持ちが尽きない。
さて、感傷に浸っている暇もなく、次のステージが待っている。12月1日、多久ミュージカルカンパニーの公演「詩子の声」だ。今回は私が脚本と演出を務める。役者としての今を糧に、新たな挑戦へと心と身体を切り替えねばならない。成長し続ける舞台人であるために、また一歩を踏み出そう。
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・多久ミュージカルカンパニー 多久市人権フェスタ ミュージカル公演「詩子の声」
2024年12月1日 13:30〜