未完成な旅

新年度が始まってから、時間が過ぎるのは早そうで、そうじゃない気がする。毎日が驚くほど濃密だ。それでも、「GWまであと少し」と思うだけで、ほんのすこし肩の力が抜ける。小さな灯りが見える夜道のように、それだけで少し、歩きやすくなる。

授業の準備などは山積みではあるが、アイディアはいっぱいだ。やりがいは確かにここにある。一つ一つの授業は、学生たちと私が交わす「教える」と「学ぶ」のキャッチボール。私が投げたつもりの言葉が、思いがけない角度で返ってくる。それが面白くて、私はまた次のボールを探しはじめる。

「こうすれば、もっと伝わるんじゃないか」
「この瞬間、ちょっと寄り道してみよう」

そんなふうに、即興で流れを変えることもある。学生の表情や沈黙、何気ない頷きに耳を澄ませながら、授業の舵を握る。それは一種の冒険のようでもあり、ささやかな舞台の演出のようでもある。

そしてまた、明日もきっと、学びながら教える。
どこまでも未完成なこの旅は続く。

Related Posts