2026年春

穏やかな週末だった。新しい街に来てから、少しずつ行動範囲を広げている。知らない道を選び、見慣れない景色に足を止めながら、この街の輪郭を自分の中に描いていくような日々だ。

今日は、まだ桜が残っていた。きっとこれが見納めになるのだろうと思い、桜並木のある川沿いを歩いた。散った花びらが水面に浮かび、ゆっくりと流れていく。ひらひらと舞う花びらは、地面にも、川にも、そして時には人の肩にもそっと降り積もる。

誰かの頭に桜が舞い降りても、わざわざ教える人はいない。ただ、その一瞬を共有するように、どこかで小さな微笑みが生まれている。そんな空気が、この季節にはよく似合う。

やわらかな風、かすかに残る冷たさ、そして過ぎゆく春。すべてが一つの時間の中で重なり合い、静かに流れていく。

2026年の春は、きっと忘れられないものになるだろう。
新たな挑戦のために、この場所へと踏み出した春として。

そして、桜がすべて散りきったあとも、きっと私は歩き続ける。
次に巡ってくる季節を迎えながら、この街と、自分自身の変化を、少しずつ確かめるように。

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