飛行機に乗り、背もたれに身を預けると、
私はたいてい、一瞬で眠りに落ちる。
離陸の振動も、エンジンの唸りも、
夢の入り口では優しい子守唄のように遠ざかっていく。
気づけばもう、雲の上。
どこにいるのか、どこへ向かうのか、
その境界が曖昧になる。
けれど、その宙ぶらりんな感覚こそ、
日々の慌ただしさから解き放たれた、
わずかな「無重力の時間」なのかもしれない。
目が覚めて、空の上でぼんやりと考え事をする時間は悪くない。
心が柔らかくなり、未来が少し遠くまで見えるような気がする。
ふと考える。
これからの人生、
変化が少ない穏やかな日々と、
劇的に変化していく新しい日々、
どちらを望むのだろう。
変化は、私を揺さぶり、覚醒させる。
怖さと共に、確かなリアルな実感を与えてくれる。
一方で、変わらない日々にも優しさがある。
同じ風景の中に、小さな幸せを見つけられる安堵がある。
年齢を重ねるほどに、きっとその安堵の温もりが
愛おしくなるのだろう。
いずれにせよ、頼れるのは自分だけ。
不安を抱えたままでも、前に進むしかない。
直感を信じて、素直に、あたたかく、
そしてしなやかに、生きていく。
人生100年時代と言われるけれど、
まだ道の半ば。
折り返しを過ぎても、空は続いている。
70代、80代の私がどんな夢を描いているのだろうか、
その姿を想像できることが、
今の私にとっての希望なのかもしれない。
そしてまた、雲の切れ間から光が差す。
新しい日々へと向かう私を、
そっと照らしてくれているようだ。
