たわいのない話

「たわいもない」「たわいがない」「たわいない」 どうやら、どれも正しいようだ。

飛行機を予約した時点から、前の席に赤ちゃんが座っていることがわかっていた。「泣きじゃくってうるさくなるのではないだろうか?」ということが頭の中をよぎったが、他にあまり座席が空いてないこともあり、あまり気にせずにそこに決めた。

そして当日を迎える。予想は的中。飛行機が離陸してすぐに、赤ちゃんは泣き始めた。時折、弱くなることもあったが、パワフルに泣き続ける。なんとかしようとするお母さんは、きっと周りのことも気にしているであろう。通路を挟んで座っていた、ある男の子が、そのお母さんを助けてあげようと思ったのであろう。手を振ったりしてアイコンタクトをとろうとする。しかし、あまり効果はない。赤ちゃんにとってみたら、この飛行機の中の状況は怖いのであろう。その後も、その男の子は終始、気になっていたようだ。かなりの存在感を出しながら泣いていたら、それは気になるだろう。

私も含めて周りに座っている大人たちは、とにかくその泣き声を気にしないようにするだけだった。変に何か関わることもできない。私がおそらくできることもほとんどない。少しでもお母さんが楽になるように、うるさいと思っていないというアピールぐらいであろう。それと、心の中で、お母さんと赤ちゃんに頑張ってと思うだけだ。

ふと、自分の母親に言われたことを思い出した。いつだった忘れたが、赤ちゃんが泣いているところに居合わせた時に、「あなたにもあんな時があったのよ」と。多分、その考え方で、想像力を働かせることで、耳ではちょっとうるさいと感じたことも、思いやりのある考え方に変えることができる。こんなことを当然だと思う人も多いだろう。そういう優しい社会であることを願いたい。

そして、いつの間にか赤ちゃんは泣き止み、眠ってしまっていた。お母さんは一安心していたであろう。

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