タイに来てから、ミュージカルのキャスティングを考え、練りに練っていた。様々な要素を考慮しつつ、バランスを保ちながら最終案を完成させるプロセスは、まるでパズルを組み立てるような感覚で、とても面白かった。帰国後、レッスンでこの案を発表し、いよいよ作品作りに向けて、みんなで一歩ずつ歩み始めることになる。
2010年に旗揚げしたTMCでは、数多くの作品を生み出してきた。この活動を続けられていることに感謝の気持ちでいっぱいだ。これまで多くのメンバーと、本番で感動を分かち合ってきた。一つ一つの作品を生み出すことは決して容易ではないが、周囲のサポートのおかげで、なんとか形にすることができている。
演劇を作りたい、そしてそこから学びたい。そんな純粋な思いが私を動かしてきた。これからどれだけの年数、作品を作り続けられるかは分からないが、自分の思いや感じたこと、時には社会に対する提言を作品に込めていきたいと考えている。創作活動が身近にあることの素晴らしさを日々感じている。
ミュージカル「グレーテスト・ショーマン」の中に「Never Enough」という曲がある。作品を作ることの本質が、この歌詞に表れているように感じる。「Never Enough」と繰り返されるフレーズに、どれだけ努力しても満足できないという共感を覚え、この歌に救われることさえある。これこそが歌の力だろう。私は音楽を作ることはできないが、これまでに作詞し、作曲家と共に何十曲も作ってきた。
誰かの心の支えとなるような歌を作ることができたら、それ以上の喜びはないだろう。