古都アユタヤ


今年もまた、古都アユタヤの地に足を踏み入れた。世界遺産としての威厳を保ちながらも、時の流れに削られた遺跡たちは、まるで歴史の語り部のように静かに佇んでいる。その佇まいには、言葉では表現しきれないロマンが宿っている。壊れた壁や崩れた仏像は、時代の移ろいと共に生き続ける彼らの証であり、その姿に切なさと美しさが同時に感じる。

今回の旅では、昨年と異なる発見がいくつもあった。一度きりでは知り得なかった風景や感情が、何度も訪れることによって深まり、その都度違う旅の魅力を教えてくれる。

明日、ついに帰国の日がやってくる。夏休みが終わり、8月が終わり、そして夏が終わる。夏の終わりには、いつも心にぽっかりと穴が開くような切なさが漂う。

異国の風に包まれていると、日常の忙しさから解放され、その尊さを再確認することができる。だが、帰国して日常に戻ったら、またすぐに旅立ちたくなるのだろう。もしも仕事がなければ、果てしなく続く道を彷徨い、異国の地を転々とするノマドのような生活を選んでいたかもしれない。仕事には仕事の楽しさがある。そして、心の奥底には、再び海外で生活してみたいという願いもある。

旅の終わりは、新たな旅の始まりである。人生は旅だから。

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