なかなかの強行スケジュールだと覚悟していたが、それでも一日の中で仕込み、テクリハ、そしてゲネプロを全て終わらせることができたのは、スタッフさんたちの尽力のおかげだ。まるで時間が濃縮されたような長い一日だった。明日はいよいよ、一度きりの本番が待っている。
形はほぼ整った。あとは明日の午前中に細かな修正を加え、午後にはお客様に届けるだけだ。どんな反応が返ってくるのだろうか。正直、不安がないと言えば嘘になる。でも、それ以上に楽しみである。
多久ミュージカルカンパニーが動き出してから、もう14年が経った。2010年の立ち上げから、ここまでの歩みはあっという間だったようにも感じる。そして、振り返れば僕の31年にわたる僕の演劇人生の中で、この活動が占める割合は非常に大きい。こうして作品を作り続けることができる環境があることに、改めて感謝の思いが湧く。一緒にその環境を築き、支えてくれる仲間たちの存在は何よりも大きい。
演劇をしていると、僕は「生きている」と実感する。オスカー・ワイルドの言葉が胸に響く。
“To live is the rarest thing in the world. Most people exist, that is all.”
「生きるとは、この世で最も稀なことである。ほとんどの人は、ただ存在しているだけなのだ」。
もしかしたら、演劇をしていない僕は、ただ存在しているだけの人間なのかもしれない。そんな思いが頭をかすめるたび、僕は舞台の上で「生きる」ことを再確認するのだ。
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・多久ミュージカルカンパニー 多久市人権フェスタ ミュージカル公演「詩子の声」
2024年12月1日 13:30〜