最近、セリフがめっきり覚えられなくなってきた。以前なら台本を手にして数回読むだけで、自然に頭に入っていたのに、今では何度読み返しても曖昧な部分が残る。
原因を考えると、いくつか心当たりがある。一つはスケジュールの過密さだ。仕事や日常のタスクに追われる日々で、頭の中が散らかっている。セリフを覚えようと台本に向かっても、別の考え事が浮かんで集中を欠く。もう一つは年齢の影響だろうか。自分ではまだ衰えていないと思いたいが、記憶力の変化を少しずつ実感している。
ただ、セリフを覚えること自体が目的ではないということも改めて考える。台詞はあくまで感情を伝える道具であり、覚えた言葉にどう命を吹き込むかが大事だ。覚えられないことに苛立ってばかりいると、その本質を忘れてしまう。舞台は生きる場であり、言葉に魂を宿す場である。
セリフ覚えの悪さに直面している今、それは苦しみだけではなく、自分の演技を見直す機会でもある。今までのやり方に固執せず、新しい方法を模索することで、さらなる可能性が広がると信じている。舞台はいつだって、挑戦する者を裏切らないと信じている。