効率の悪い休日だった。やらなければならないことは山積みなのに、自宅という空間は不思議とやる気を吸い取ってしまう魔法を持っているようだ。作業は進まず、時計の針ばかりが軽快に進んでいく。結局、達成できなかったこともあり、なんとなくモヤモヤした気持ちが心を曇らせた。でも、こうして少し立ち止まる時間も必要だったのかもしれない。
実を言えば、ここ最近は休みそのものが贅沢だ。夜遅くに帰宅し、朝からまた忙しさに追われる。テレビのリモコンを触ることすら稀だ。常に何かに追われ、何かを終わらせて、また次のことに取り掛かる。それが「普通」になってしまった自分にとって、休日でさえ何かを達成しないと落ち着かないのだ。
だけど、この数年で少し変わった部分もある。以前ほど無理をしなくなった。以前の自分なら、こんな休日に対して苛立ちを募らせ、夜中に回収しようとしたはずだ。それをしなくなったのは、自分の中の小さな成長だと思う。完璧じゃなくてもいい、という考え方をほんの少しだけ許せるようになった。
夜、ひんやりとした空気が頬を撫でる。空にはうっすらと月が顔を出していた。こんな日もあるよな、と少しだけ肩の力を抜く。そのとき、不意に誰かが言っていたことを思い出した
「やらない勇気も、たまには必要だよ。」
その言葉を噛み締めながら、今日はこれで良しとすることに決めた。少しだけ深呼吸をして、気持ちを明日に切り替えた。そう、今日が不完全だったとしても、明日はまた新しい一日が待っているのだから。