なんだか突然心の中に落とされた「矛盾」とういことについて考えてみた。
自分の中にある矛盾に気づくとき、少しだけ胸がざわつくことがある。
こうありたいと思っているのに、ふとした瞬間に真逆のことをしてしまったり、言ってしまったり。そのたびに、なんだか自分を裏切っているような、情けないような気持ちになる。
でも、矛盾は嘘ではない。
それはむしろ、人間として自然なことなのかもしれない。
誰かと一緒にいたいという気持ちと、自由でいたいと思う気持ち。一人がいいけど、寂しいと感じる。優しくありたいと願う心と、傷つきたくないと身を守る心。そんなふうに、正反対の感情が同じ場所に同時に存在してしまう。それは矛盾というよりは、むしろ正直さかもしれない。
自分の中の矛盾を少しだけ認められるようになると、他人の中にある矛盾にも、ほんの少しだけ優しくなれるのではないだろうか。言っていることとやっていることがちぐはぐな人を見て、苛立つような場面でも、「きっとこの人も揺れているんだろうな」と思うこともできるのかもしれない。
矛盾は、不誠実の印ではない。
時には、言葉にできない葛藤や、誰かを想うがゆえの不器用な表現だったりする。
もちろん、それを何でも受け入れればいいわけじゃない。けれど、白か黒かで断ち切ってしまうよりも、グレーのまま、理解しようとする姿勢のほうが、ずっとあたたかい。
一貫した考えやぶれない意志が尊ばれるこの社会の中で、誰かに見せたくない弱さや迷いがあるのは当然のこと。完璧な人間などどこにもいない。だからこそ、揺れることも、曖昧さも、矛盾も含めて、自分の一部なのだろう。そして、他人の矛盾を受け入れることは、他人に優しくなるというより、自分の不完全さを許すことにつながっている気がする。
少しずつでいい。
そのままでいい。
矛盾を抱えながら、今日もできるだけまっすぐに進もうとしている。