成功とは何か。この問いに対する答えは、時代や文化、そしてその人自身の価値観によって大きく異なる。ある者にとっては高い地位や収入こそが成功であり、また別の者にとっては、家族と穏やかに過ごす日々こそがそれなのかもしれない。
子どもの頃に思い描いていた「成功者」は、テレビの向こう側にいるような存在だったように思う。拍手を浴び、注目を集め、誰もが知る名前を持つ人間。だが、名声や富を手にしたからといって、それが本当に「成功」と言えるのだろうか。いや、そう言える立場にないからこそ、そう考えてしまうのか…。
そんなふうに思われたくない自分もいる。
世の中には、自分の仕事に誇りを持ち、誰に知られることもなく静かに人生を積み重ねている人がいる。大きな賞も、SNSの「いいね」も関係ない。ただ、自分にとって大切なことに真摯に向き合い、納得のいく日々を送っている。その姿は、理想的な在り方の一つと言えるのかもしれない。
他人と比べて上に立つことではなく、「自分の人生を、自分の意思で選び取っている」と胸を張って言えるかどうか。それが、成功の一つの指標なのだと思う。
成功は、数字や肩書きだけで測れるものではない。むしろ、それらから自由になった先にこそ、ようやく見えてくる何かがあるのかもしれない。
そんなふうに考えながら、それでもやはり、自分なりのかたちで成功したいと願っている自分がいる。それでいいのだろうか…。
そんなことを、漠然と考えていた。