ハイリスク・ハイリターン

ハイリスク・ハイリターンという言葉は、投資の世界に限らず、生き方や選択の場面でも頻繁に使われる。大きな見返りを得たいなら、それ相応のリスクを取る覚悟が必要だという、ごく単純でありながら本質を突いた考え方だ。だが実際には、多くの人がリターンだけを欲しがり、リスクには及び腰になる。「安全な道」を選ぶことに慣れすぎて、失敗する可能性のある選択肢は最初から排除してしまう。そうやって選ばれなかった挑戦の芽は、最初からなかったことにされてしまう。

ただ、リスクを取らないことが本当に安全かといえば、決してそうとは言い切れない。変化の激しい時代では、現状維持を選ぶことがむしろ最大のリスクになる。動かないことで安心を得たつもりでも、その場にとどまることでじわじわと状況が悪化していくのはよくある話だ。未来はいつも未知で、確実なものなど何一つない。だったら、自分で舵を取って不確実性の海に漕ぎ出した方がまだマシだ。

もちろん、闇雲に飛び込めばいいというわけではない。準備や分析、直感と経験を総動員して、どう動くかを決める。失敗したとしても、それは何もせずに過ぎた時間よりはるかに濃密で、自分を鍛えてくれる糧になる。安全な場所にとどまり続けた者と、何度もリスクを引き受けた者とでは、数年後に大きな差がついている。それは努力とか才能とかいう次元ではなく、「選択の結果」として明確に表れる。

大きく動けば、失うものも増える。しかし、得られるものもまたそれに比例する。リスクの先にしか見えない風景がある。結局、挑戦しなければ手に入らない。誰かが保証してくれることは永遠にない。ならば、自分の人生くらい、自分で賭けてみるしかないのだ。

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