高層の静寂

滞在しているホテルから見えたのは、そびえ立つ数々のタワーマンションだった。あまり見慣れない光景だ。あまりにも上の方にいる世界は地上とかけ離れすぎていて、落ち着かない気がした。

どこか非日常で、まるで別の国に迷い込んだようでもある。窓の向こうに広がる夜景は確かに美しく、光の粒が星空のように瞬いている。光の一つひとつの奥にある生活や時間があるのだろう。そこには、誰かの喜びやため息、眠れぬ夜や小さな希望が、確かに息づいているのだろう。

私はただ、その数え切れない灯りを眺めていた。光は瞬き続け、夜は静かに深まっていく。やがてホテルの部屋のカーテンを閉めると、窓の外の世界と自分の居場所の境界は曖昧になり、時間の感覚も、どこにいるのかという感覚も、わからなくなった。ただ静かに、夜と光の残像の中に身を委ねるのであった。

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