今宵はハンターズムーンの満月。
秋の空気は澄み渡り、月は雲のすき間を流れながら、静かに大地を見つめている。
その光はどこか鋭く、それでいてあたたかい――まるで次の獲物を見据えるような強さを秘めている。
ハンターズムーンは、実りを収めたあとの季節を照らす月。
冬に備えて、再び動き出すためのエネルギーを与えてくれる。
その光の下で、私は心の奥に新しい炎がともるのを感じている。
何かが目覚め、何かが呼びかけている。
ふと舞い降りてきたインスピレーションを、逃さぬように書き留めていこう。
直感に導かれるまま、まだ見ぬ未来を描いていこう。
すでに動き出したものたちは、次の季節へ向けて確かに息づいている。
今夜のこの月は、挑戦の始まりを見守る光。
きっと、狙うべきものはすでに空の向こうに見えている。そんな予感がしてならない。

舞台「シン・ハリマオ」は、10月11日(土)と12日(日)の両日14時から、さざんぴあ博多の多目的ホールで上演される。会場は西鉄雑餉隈駅から徒歩2分、JR南福岡駅からも徒歩圏内というアクセスの良さを誇り、客席から舞台が間近に感じられる親密な空間である。
この舞台で描かれるのは、マレー半島を舞台に「義賊」として語り継がれた男、谷豊――後に“ハリマオ”と呼ばれた人物の人生である。1911年、福岡の理髪店の家に生まれた谷豊は、幼くして家族とともにマレーへ渡り、やがて妹の悲劇をきっかけに義賊としての道を歩み出す。弱き人々を救い、権力に立ち向かうその姿は民衆に希望を与えたが、時代は彼に苛酷な運命を強いた。
やがて日本軍の諜報機関に協力し、植民地支配や民族の対立の渦中で翻弄される彼の人生は、信念と裏切り、忠義と悲哀の狭間で揺れ動いていく。30代という若さでマラリアや栄養失調に命を奪われた後、人々は彼を「大東亜の英雄」と呼び、その名を伝説として語り継いだ。
観客の皆さまには、この二日間だけ体験できる特別な物語を、どうか一緒に見届けていただきたい。10月11日と12日、午後2時、さざんぴあ博多にて、皆さまのご来場を心よりお待ちしております。

