自由と夢を追い求める場所

アラスカ鉄道をフィーチャーした番組の放映がありました。ご存知の方も多いと思いますが、私はアラスカ大学アンカレッジ校卒であり、約6年半過ごしたアラスカは私の第二の故郷です。

今回の番組は秘境がテーマになっているため、アラスカの中でも秘境に暮らす人々を中心に描かれていました。アラスカ鉄道から望む絶景の数々に圧倒された方も多いのではないでしょうか。本当に美しい場所なのです。何度も乗ったことのあるアラスカ鉄道を懐かしく感じました。

もともとはエスキモーやアメリカン・インディアンの先住民の方々が住んでいた場所に、ゴールドラッシュで栄えた歴史があります。夢を追い求めてやってきた多くの人々がいました。その後は、アラスカの大自然の中で暮らすこととか、新しい生活を始めるためにアラスカへやってきた人たちがいました。日本の面積の約4倍の中で、人口は佐賀県より少ない73万人しか住んでいない大地には秘境が存在して当然だと言えます。圧倒的な大自然の中では、人間は無力であり、そして自由でもあると考えます。その土地柄ということなのかもしれませんが、何かあそこにはエネルギーを感じるのです。あの大地に足を踏み入れたことがある人しか肌で感じることができない、魅了されるものがあるのです。

「自由と夢を追い求める場所」という言葉で番組は締めくくられていました。

これには私も共感するところがあり、具体的な目標や夢もなかった自分を覚醒させ、そして「演劇」というライフワークに出会わせてくれたのがアラスカだからです。たまたま高校留学の行先としてアラスカになり、そこで初めて小論文を書き「学ぶことの意味」が府に落ちる経験をしました。アラスカ大学に進学することを決め、学びを求めて再渡米、一般教養科目として「演劇入門」の授業をたまたま受講することになり、そこから演劇人生が始まることになりました。今と変わらぬように、複数のプロジェクトをいつも抱えて、一つの芝居が終われば次の芝居をやる生活を続けていました。専門学校、大学院と進み、演劇を作ることを続ける中で、演劇教育の研究と実践を重ねてきました。そして、大学の講師となり、専任教員にまでなることができました。

つまりは、今の自分の活動の原点はアラスカにあるのです。

あの時あの場所に行かなかったら出会えなかったものがあるのは、どんな人生でも同じなのでしょう。しかし、私は今ある幸せを掴むことができているのは、演劇のおかげなので、運命を感じるのです。

アラスカに帰郷したいという思いが一層強くなりました。実は、母校のアラスカ大学アンカレッジ校演劇学科は、現在、学科に所属している学生が全て卒業したら終わることになっています。心が痛む思いですが、何度も立ったあの舞台に足を運び、お別れをしにいきたいと思っています。再来年の冬ぐらいに行けるかな。行けるといいな。

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