人はなぜ、過去の友人と再会し、懐かしさを味わいたくなるのか。そんなことを考えていた。
一つ言えることは、自己の連続性を確認し、心に温かさと意味を取り戻すためなのではないだろうか。
心理学によると懐かしさは、単なる感情ではない。
変わり続ける世界の中で、自己が自己であり続けるための、いわば心の錨である。
過去の仲間と再び語らうことにより、人は自らの歩みと現在地を再確認し、安心感を得るのであろう。
イギリスの作家ルイス・キャロルのこんな言葉を思い出す。
「思い出は、失われたものではない。心の中に住んでいるのだ。」
この言葉が示す通り、懐かしむ行為は決して過去への後退ではない。
むしろ、それは今を生きるための糧であり、心の中に生き続けるものへの感謝とも言える。、つまりは、過去を振り返ることによって、人は未来へ進むための精神的なエネルギーを蓄えることができるのだ。
懐かしいメンツで集まる場は、単なる思い出話の寄り合いではない。
異なる道を歩んできた者同士が、それぞれの現在地を持ち寄り、互いの変化と不変を確かめ合う営みである。
人生において、懐かしさを味わうことは、何ら恥ずべきことではない。
むしろ、それはより強く、よりしなやかに生きるために必要な時間である。
同窓会的なイベントに足を運ぶことは、かつての自分に再会し、未来への一歩を踏み出すための、小さな儀式なのかもしれない。